自由が丘MCクリニック

豊胸バックの危険性

豊胸シリコンバックとは?

一般的な豊胸手術方法です。 豊胸バッグを胸の中に入れてバストアップさせる方法です。メリットは確実にバストを大きくできること一度の手術で効果があることです。
よく耳にする手術方法ですので安全と思われがちですが、豊胸するひとが多くなるに伴って、バストのトラブルを引き起こす「合併症」という深刻な問題があります。
 

カプセル拘縮

文章で説明するより写真を見て説明しましょう。
写真1
写真2
 
左側は「カプセル拘縮」と言って、異物であるバッグに体の防御反応で、豊胸バッグの周りに硬い膜に覆われる結果、生じるものです。(これは見た目もわかるぐらいひどいケースですが、外見上まったくわかならくても、触ってみるとかなり硬いケースもあります) この厄介なのが、術後すぐに現れない点です。術直後は、キレイな形なのですが、時間とともに手術の手技にかかわらずこのような結果になることがあります。

拘縮の診断
カプセル拘縮に対し、バストの硬さ、見た目などを基準にしたBaker分類というものがあります。
グレードI
バストは普通の硬さで、見た目も自然。
グレードII
バストは若干硬いが、見た目は自然。
グレード III
バストは硬く、見た目はゆがんで見える。
グレード IV
バストは硬く、痛みもあり、見た目もゆがんで見える。

豊胸バッグの破損

右と左の大きさが違いますね。
左の豊胸バッグが破損してしまうために萎んでしまったのです。 この場合は、生理食塩水を入れている症例で、豊胸バッグが破損すれば、「見た目にすぐわかります」痛みもありません。 日本国内では、生理食塩水を最近ではほとんど使用しません。ですから、最近豊胸バッグを入れた人にこういうのはあまりありません。
15年前以上に入れた人たちに見られます。
最近は、豊胸バッグの中身がやわらかい固形シリコンの製品(コヒーシブタイプ)を使う傾向にあります。 このシリコンを使う利点は、生理食塩水より柔らかく、より自然な点にあります。 ただ、欠点は、この症例のように破損した場合は、生理食塩水と違い、まったくわからなく何年も経過する点です。これがやっかいです。 破損しても大きさ変わらないからです。

 

リップリング(波打ち)

  リップリングは、よく起こる合併症の1つです。術後の経過とともに起こります。乳房の皮膚表面が「ボコボコ」した感触があり、「しこり」があると表現するひともいます。

これは、重力によってインプラントを歪め、バッグの表面が折り目を生じ、波打つことにより起こります。約10%の頻度で起こり、多くのひとに不満をもたらします。

これらの乳房表面の変化が明らかではなく、乳房の皮下脂肪によって隠されるひともいますが、痩せているひと、皮膚が薄い乳房の辺縁に最も生じやすくなります。

一般的には、触知可能であり、インプラントのふちを、乳房表面を指でなぞって触ることによって感じることもできます。 より重度なケースでは、外見でしわや折り目が見えるようになります。
 

PIP製の豊胸バッグについての危険性

PIP豊胸バッグとは?
2011年に問題になった、ポリ・インプラント・プロテーズ(PIP)社が製造していた豊胸手術に使っていたインプラントです。
このインプラントは医療用に適していないマットレス用のシリコンを豊胸手術に使っていたとされます。
このため、フランス厚生省は、豊胸手術や乳房再建手術で埋め込まれたシリコン製のインプラントががんの原因になる恐れがあるとしてインプラント摘出手術の費用を助成すると発表しました。
日本国内でPIPを使った例は少ないですが、当院では豊胸バッグを取り出した人の1割程度に見受けられます。
現在もまだ胸に入っているひともいるかと思いますが、破損がないか今一度チェックしたほうがよいでしょう。

厚生労働省からのPIPの注意喚起

 

シリコンバッグ取り出した、その後

この現実を直視できますか?
シリコンバッグを入れる豊胸術は、簡単で術後すぐに効果が確認できます。(少し腫れていますので、多少大きいのですが) 往々にして、患者さんは目先のことだけに集中しがちです。「大きくしたい」と思ってしまうと、あとのこと(手術後)は何も見えなくなってしまう傾向にあります。
長期で見れば、ほとんどの方が何かしら合併症が生じます。 1年、2年は大丈夫でしょう。(短期でも合併症を生じる方ももちろんいっぱいいます) でも、5年後は?10年後は?
「何か不都合が起きれば、取ればいいだけじゃないですか?」
ホントにそうですか?取るだけでいいですか?
次の写真を見てください。

前述のように、結局バッグを取るとこのようになってしまいます。 バッグを長期に入れていると皮膚が伸びます。バッグを取るのはいいけど、皮膚は伸びたままなのでこのようになってしまうのです。ちなみに、このたるみ、戻りません。


バッグ除去後はどうすればよいか?

  • シリコンバッグのみ除去
  • シリコンバッグ除去+ヒアルロン酸
  • シリコンバッグ除去+セリューション
  • バッグ入れ替え
  • ・今後何も手術をしたくない場合は、除去のみがよいでしょう。その後、どうしてもバストが気になるようであれば後日セリューションも可能です。
    ・ヒアルロン酸注入とセリューションは除去同日にできます。
     

    豊胸バッグの乳がん検診

    豊胸バッグを入れている方は、乳がん検診したことありますか?
    40歳以上の方は受けたことがあるかもしれませんね。 日本国内では、なんと女性の20人に1人がかかると言われています。 20人に1人ですよ! さて、乳がん検診の一般的な検査は、マンモグラフィーといわれるものです。 どんなものかというと...検査の時、乳房を根元から引っ張ってくるようにつぶして検査します。 乳房をこんなにつぶす? 豊胸バッグ入れた状態でこんなにバストをつぶせると思いますか?

    特に大胸筋の下に入れた場合は、乳房の根元まで現実的につぶすことができません。 通常に触っても乳房に柔軟性がないからです。 乳がん検診で、豊胸バッグを入れている場合、検査(マンモグラフィー)を拒否する医療機関・医者もいます。 バッグが入っていると正確に診断ができず、保証もできないからです。(今や検査で発見できなかったと訴えられる時代ですから、あえて、バッグを入れているひとを拒否するのもやむを得ないのかもしれません)また、マンモグラフィーで「乳がん」が発見できない可能性にも触れましょう。

    乳房内にバッグがあると、そのバッグ邪魔になり透過性も薄れ、「微小」がんが発見できないこともあるのです。 先ほども書いたように、今や乳がんは女性の20人に1人がかかると言われています。 早期発見できれば、死に至るということもありません。 ただし、バッグを入れているがために乳がん検診を躊躇してしまったり、検査をしても病変の「微小」のものは、バッグが邪魔をして見逃されてしまう可能性もあるのです。

    また、疑いのある場合は生検(針で組織片を取り、顕微鏡で悪性の有無をみる)を行うことになるのですが、医療機関によっては、「バッグを取ってからでないと検査は行わない」と言われることもあります。 バッグを入れると決めたら、目先のことしか視野にはいらないものです。 もちろん数年、数十年後のことまで考えることができないのが現実でもあるのでしょう。 豊胸バッグを入れている人が、乳がんにかかりやすいというのはアメリカの疫学調査では否定されました。 乳がんが発症するのは、バッグを入れてひとも入れていない人も発症率は同じと言われています。ただし、早期発見できるか否かは別問題です。



    豊胸バッグの真相☞豊胸バッグのトラブルと合併症